これはバラク・オバマの貿易政策の隅石だった。アジアへの均衡回復の戦略の主軸であり、この地域で中国に対して駒を成ることを目指していた。しかし、環太平洋協力協定(TPP)は去りゆくアメリカ大統領が遺す遺産には含まれない。彼の継承者である共和党員ドナルド・トランプは、この貿易協定を「我々の国にとって潜在的な惨劇」として、1月20日の就任後すぐに、アメリカを脱退させることにしている。
まだ少し疑いが残っていたとしても、選出された大統領は11月21日(月)に投稿された散文足らずの動画の中で、選挙期間中にうるさく言っていた約束を繰り返し、最後の疑いを消し去ってしまった。TPPの終わりのカチンコか?2015年末に締結されたこの自由貿易協定は、アメリカ・日本・ベトナムなど12か国を結合するはずだった。重要な例外が中国だった。
専門家の大多数は、アメリカの撤退はこの貿易協定の終了を意味すると考えている。「合衆国はこの交渉の要石だった。工程を組織して優先事項を決定したのはアメリカだった」と国際未来情報研究センター(Cepii)の所長セバスティアン・ジャンは語る。「アメリカ抜きでは、TPPはもうほとんど意味をなさない」。更に、トランプ氏の宣言を受けて、日本の首相安倍晋三は、再交渉することは「不可能」と判断した。
「新世代の協定」
8年近い間の議論を経て、TPPは「極めて野心的な前代未聞の巨大協定」を生むはずだった、とパリ-I-パンテオン-ソルボンヌ大学教授リオネル・フォンタネは言う。参加する12の経済圏は、世界的貿易の単一圏になるはずだった。
オバマ氏は、21世紀の貿易交渉の未来の原器とされる条約の革新を賞賛する機会を逃さなかった。「これは新世代の協定です。関税権に考慮しないだけでなく、非関税障壁の構築も同様に予防します」とフォンタネ氏は続ける。
交渉の主題としては、ベトナムのような国にとっては非常に繊細な問題である労働権に関する基準の強化だけでなく、開かれたインターネットの確認や競争に開かれている分野での上場企業への補助金を禁止する取り組みまであった。
何より外交的な問題
アメリカ貿易委員会(USITC)によれば、TPPはアメリカの国内総生産を今から2032年まで0.15%増加させ、輸出を1%増やすはずだった。しかし、この条約は最初から北京を除外しており、真実の問題は外交的なものだった。環太平洋協定は、オバマ氏のアジア防衛に向けて「軸」となる戦略の中心だった。増大する中国の影響と均衡するという野望があった。「合衆国は、中国のような国が世界貿易の規則を固定することを許さない」協定の調印の際にアメリカの大統領は確証した。
北京にとっては、TPPによって示される方程式は明白であった。世界第二の経済対格が、この巨大な貿易国群を包括する協定から除外される損害を被るか、統合可能なようにその経済を進化させるかである。「中国人にとって、TPPは全く嫌悪の対象であり、彼らに向けられた武器でした」と、研究機関アジアセンターの所長ジャン-フランソワ・ディ・メグリオは続ける。逆に、「合衆国の後退は、今日、中国の拡張主義に道を開きました」とこの専門家は続ける。
北京は反撃するのに一分もムダにしなかった。土曜と日曜に、アジア太平洋経済協力サミット(APEC)で、中国国家主席習近平は、彼自身の発意に有利な作業を加速することを宣言した。それは、中国とインドとオーストラリアとASEAN(東南アジア諸国連合)の間の地域経済統合協定であり、アメリカは除外されている。
合衆国の影響の喪失
この自由貿易条約は、RCEP(地域的包括経済協力または地域包括経済協定)と名付けられ、域内の貿易を活性化することを目指している。しかし、経済の何らかの自由化や社会労働環境に関する件での基準の改善などは各国に求めていない。「RCEPは、中国とそのイデオロギーに沿う形で貿易地域化を組織する手段です。別の言い方をすれば、関税は下げますが、各国は自主権を維持します」とセバスティアン・ジャンは説明する。
アメリカの撤退の見通しは、この地域ののワシントンの同盟者にとっては痛打である。TPPの参加国には、交渉のテーブルに着く為に世論と闘って内部の政治的抵抗に打ち勝たなければならない国もあった。「アメリカの友人と協力者たちにとって、TPPの批准はあなたたちの信用とあなたたちの真摯さの試金石です」とシンガポールの首相リー・シェン・ロンは8月にワシントンを訪問した際に釘を刺していた。
ドナルド・トランプが宣言した保護主義的後退のために、アジアにおけるアメリカの経済的・政治的影響が失われる危険もある。「TPPはこの地域の国々が完全に中国の衛星国になってしまうことを阻止するものでした。しかし、政治の面では、宣言の後、アジア人は約束を実際には守らないワシントンを疑っています。今では、彼らは十分に重商主義的な論理に基づいて、最高入札者に従います」。
シンガポールとマレーシアとオーストラリアとベトナムは、既に中国の構想に興味があるとしている。北京は来週これらの協力者たちを試せる。RCEPの最初の交渉ラウンドはインドネシアで12月2日から10日に行われる。
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実に困った問題だが、残念ながら、もうアメリカは頼りにならないということだろう。